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    vol.42

    Triangle & Co 副代表

    石毛麻里子さん

    コーディネーター
    絵本作家

    コーディネーターとして大手百貨店の新規店舗オープンに携わり、手芸作家として作品を発表したり、最近ではテキスタイルデザイナーの脇坂克二さんと絵本を作られたりとご自身のセンスと感性を活かし、お仕事を続けていらっしゃる石毛さんです。ご主人と経営されている会社では、北欧製の毛糸やクラフト作品の輸入販売を手掛けていらっしゃいます。少しずつゆったりとしたペースで毎日を過ごすようになられたという石毛さんに、習慣や今思うことについてお話を伺いました。

    日々暮らす中で習慣にしていること、大切にしていることはありますか?

    • 石毛さん

      娘に会社の仕事を引き継いで、朝の時間をゆっくり過ごせるようになったので、朝食はごはんを炊いて味噌汁を作って和食にしています。夜遅くまで仕事をする夫とは、朝しかゆっくり話せる時間がとれないので、朝食を頂きながら二人の時間を大切にしています。以前はパンとヨーグルトにコーヒーという朝食を長年続けていましたが、ご飯に味噌汁のほうが夫は喜ぶのです。

      北麓草水

      お仕事を中心とした生活のペースから、日々のリズムが少し変わられて、生活や心境の変化が他にもありますか?
    • 石毛さん

      30代、40代と仕事を続けるには、家事の一部をお手伝いさんに頼んだり、家族と外食をしたりして、暮らしを楽にすることが当たり前だと思ってやってきました。まわりにいる友人も、そのようなライフスタイルの人たちが多かったように思います。それが50代を過ぎたころから、更年期などで体調の変化もあり気持ちが少しずつ変化してきました。もしかしたら暮らしが大切なのではないか?私は大切なことを忘れてきたのではないかしら?と。食生活や暮らしを見直さなければいけないと思うようになりました。

      北麓草水

      そのひとつとして、朝食をパンからご飯に変えられたのですね。その他に朝の習慣にしていらっしゃることは、何かありますか?
    • 石毛さん

      自宅にある小さな庭で、数年前から好きなハーブや草花を育てているので、庭仕事をするようになりました。植物は手入れをすれば、元気に花を咲かせてくれることを体験して、とても嬉しい気持ちになりました。

      北麓草水

      事務所に飾ってあるモッコウバラとクリスマスローズはお庭で咲いた花ですか?
    • 石毛さん

      そうですよ。2年ほど前に小さな苗木を買って植えたバラが、今年はアーチになるほど大きく成長して、たくさんの花を咲かせてくれています。庭の植物を少しずつ切って部屋に飾っています。朝起きると水をコップ一杯飲んでから、庭の花を飾った花器の水を替えます。その後、白湯を飲むのですが、水分が体にしみわたり体が目覚めていくのがわかります。草花も私の体と同じで、新鮮な水を与えると元気になるのだなとしみじみ感じました。知識として知っているつもりのことも、体験して得心すると、大人であっても小学1年生のように「そうなんだ!」と感動しますね。知っていてもわかっていないことがたくさんあるのですね。

      北麓草水

      いつでも新鮮な感性をお持ちでとても素敵ですね。
    • 石毛さん

      見返りを求めないで何かを一生懸命すると、それが伝わって何かの反応があって、自分に喜びとして還ってきますね。それは年をとっていても若くても変わることはないと思います。それでも年を重ねると、学習してそれをこなせるようになるまでに時間がかかるようになるし、出来ていたことができなくなったりするのが現実です。できる範囲のことをこなせるように、欲張らないで満足することが大切になってくるのかもしれませんね。自分の体の変化や環境の変化に対応していく柔軟性を持って、出来る範囲で自分の好きなことを続けていけるといいなと思います。

    その他に大切にしていること、習慣としていることはありますか?

    • 石毛さん

      手を動かして何かを作ることが好きで、それをしていないと酸欠になったような気持ちになってしまいます。まるで金魚が水面でパクパクしているような感じです。靴下の穴を繕ったり、布巾にステッチを入れて小さな雑巾をつくったり、これは愛犬コタロウの顔を拭くために作りました(写真の赤いステッチが入った小さな白いクロス)。材料や道具を揃えて決められたものを作るのではなくて、針と糸さえあれば、自由に手を動かしているのが好きですね。軽い小さな籠に、布と針と糸と小さなはさみを入れておいて、部屋のどこででも思いついた時に手を動かしています。市販の布巾もリボンでループを付けるだけで、ちょっと便利にかわいくなりますよ。生活に必要なもの、生活を楽しめるものを自分で作って使う、また誰かに使ってもらう。そのことで少し生活が楽しくなったら嬉しいですね。

    学生時代は美術大学で日本刺繍を学ばれた石毛さんですが、決まりごとに捉われないで、作りたい物を自由に作りたいと語ってくださいました。その手から作り出されるものたちは、普段の生活に気負いなく使えて、それでいて人の手と気持ちのぬくもりが伝わって、心がほぐれるように感じました。それぞれのライフステージでさまざまな経験を積まれながら、ずっと手を動かし続けていらした石毛さんの言葉には、重さと共にしなやかさと温かさを感じました。人生の指針となるようなお話を聞かせていただきました。ありがとうございました。