• オンラインストア
  • お店のご案内
  • みんなの習慣

    vol.123

    atelier rote/rote base

    青松寛子さん

    楽しいをつくるアートスクールを主宰

    個々を大切にした表現と学びの場「アトリエロテ」を運営される青松さん。このアートスクールの原点は、お母さまが長年開いていらっしゃる、まるで寺子屋のような書道教室だそうです。そこに通う個性豊かな子どもたちと、書道だけではなく絵や工作を楽しむ中で、いつからか絵画教室が始まったことがルーツとなった「アトリエロテ」。笑顔と対話があふれるアトリエで、青松さんの日々の暮らしについてお話を伺いました。

    Q,日々暮らす中で習慣にしていること、大切にしていることはありますか?

    • 青松さん

      毎年息子と一緒に手前味噌をつくり、それを毎日かかさずいただいています。「アトリエロテ」の食育クラスでも毎年、子どもたちと一緒に味噌を仕込みます。大豆を茹で、つぶして、麹と塩をまぜた味噌玉をつくり容器に詰めていく、全ての工程を子どもたちと一緒に体験します。味噌づくりに入る前に、作業の様子を切り絵で表現したオリジナルの絵本を子どもたちと読みます。文字のない絵本なので、子どもたちは絵を見ながら、思い思いに言葉やかけ声を入れてくれるのです。毎年つくっているので、3歳から参加している子は、6、7歳になると経験豊富なベテランさん。手順やコツまでしっかりとわかっているのです。子どもってすごいですね。

      北麓草水

      味噌づくりを始められたきっかけ、そこに込められた想いをお聞かせいただけますか?
    • 青松さん

      食育クラスもアートクラスと同じ考えで、味噌づくりの工程の中で、いろいろなことを感じ、発見して欲しいと思っています。豆を茹でる時の香りや湯気の様子、音、茹でた大豆の皮の美しさ、麹の香りなど、それぞれの工程に無数の美しさと驚きを感じる瞬間があります。それを感じることが大切だと考えています。

      北麓草水

      手を動かし全身で感じ、体験することが重要なのですね。味噌を手づくりされるうえで大切にされていることはありますか。
    • 青松さん

      子どもの味覚に合うように、味噌の塩味を控えめにしています。家庭でも塩分を控えるなど、料理全般を幼い息子の味覚に合わせてつくるようにしています。そうすることで、野菜の甘みや素材の持つ味、香りをより楽しめるようになりました。子どもの味覚はとても敏感で、毎年つくる味噌の味の違いにも気がついて「今年は美味しくできたね」と我が家の味を一緒に楽しんでいます。また、青梅が出回る頃には、青梅を漬けて梅醤油や梅シロップ、梅酒もつくっています。こういった手づくりしたものや、優しい味付けの食事、子どもに寄り添い過ごす日々が、私自身の体の声に耳を傾けるいい機会となり、体が整ってきたように感じています。

      北麓草水

      それは素晴らしいことですね。大人になって忘れがちになっていたご自身の自然な感覚を取り戻されたということなのかもしれませんね。

    Q,その他に大切にしていること、習慣にしていることはありますか?

    • 青松さん

      毎日アートスクールや家庭の中で子どもたちと対話し、一緒に驚いたり笑ったりすることです。それが日々の活力にもなっています。

      北麓草水

      アートスクールの様子を拝見していて、大人が子どもたちを一方的に指導するのではなく、協力し合う姿に感動を覚えました。アートスクールに関わる大人は、子どもと同じ目線で対話し、個々を尊重しながら、あたたかく見守っていらっしゃいましたね。安心感のある自由な雰囲気の中、子どもたちの表情が生き生きと輝いているのが印象的でした。青松さんがお子さまと過ごすことで、元気が出たというエピソードがあれば、お話しいただけますか?
    • 青松さん

      今朝、息子を自転車に乗せて保育園に向かう途中のことです。朝日が斜めからさしているのを見た息子が「きれいだね!」と大きな声で言ったあと、散歩の犬とすれ違って「犬一匹、かわいい!」「またワンチャンかわいい!」「きれいな朝日が見られて、かわいいワンチャンに会えて、今日も幸せだね!」と言ったのです。私も大きな声で「そうだね。本当に幸せだね。」と答えました。そんなふうに気持ちをリセットさせてもらえることが、1日の中に何回でもあるのです。息子と過ごす時間やスクールでの子どもたちとの出会いが本当に幸せで、私の元気の源になっています。

      北麓草水

      なんて素敵な会話でしょう。その光景を思い浮かべ、こちらまで幸せな気持ちになります。
    • 青松さん

      子どもたちと過ごしていると、ハッとさせられることばかりです。子どもたちは、嬉しいことや楽しいことだけでなく、自分の身に起こったことを受け入れ、考え、理解して、それを昇華させ表現することができる、小さな哲学者であると思います。

      北麓草水

      今後の活動や青松さんが思い描く未来のことをお聞かせいただけますか?
    • 青松さん

      これからも子どもたちの表現の場、体験の場「アトリエロテ」を続けていきます。そして、この活動を発展させ、1日を通して子どもたちが過ごせる場づくりを進めています。その日にやりたいことを自分自身で決めてじっくりと取り組むことができたり、その日に食べるものを大人と協力してつくることができる場所です。安心して自分が自分でいられる場、その中で子どもたちが生きる力、自分を信じる力を身に付けていける場をつくりたいという想いを実現するために、「一般社団法人rote base」 を立ち上げる準備をしています。

    子どもが自由に自分自身を表現し、自分を信じる力を育む場所を増やしていきたいと精力的に活動される青松さん。青松さんの取り組みは子どもたちのためのプログラムに留まらず、私たち大人にも示唆を与えてくれる取り組みなのではないでしょうか。きらきらと輝く瞳とやわらかな笑顔が印象的な青松さんの今後の活動がとても楽しみです。ありがとうございました。(2023年2月21日公開)