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    vol.81

    人形作家

    山上かさねさん

    東京都内を中心に、親子で出来る手仕事のワークショップを開催

    自然に囲まれた環境と、何でも自分たちで手づくりする生活の中で育ったという山上さん。ご自身の子育てをきっかけに、シュタイナー教育と出会った時には、ご自分の子ども時代に経験したこととの親和性を強く感じたそうです。そして自然にお子さんのために、人形づくりを始められました。ご自身の日常に手仕事が根付いていらっしゃる山上さんに、日々の習慣についてお話を伺いました。

    日々暮らす中で習慣にしていること、大切にしていることはありますか?

    • 山上さん

      無理をしないことが一番大切かな、と思っています。

      北麓草水

      無理をしないということは、大切ですね。それでも気が付かないうちに無理をしている人も多いのではないかと思います。山上さんは、無理をしないようにどんなことに気を付けていらっしゃるのですか?
    • 山上さん

      自然体で暮らすようにしています。食べたいものを食べて、寝たい時に寝る。というのは一番ですね。

      北麓草水

      赤ちゃんや幼い子どもは、まさにそうですね。大人も本来は、お腹が空いたら食べて、眠くなったら寝るというのが、自然なのですね。
    • 山上さん

      そうは言っても仕事や家事があるので、子どもと同じようにはいかないのですが。例えば、玄米が体によいと聞いて、玄米食を始めたのですが、しばらく続けてみて、家族から「白いご飯がいいな。」と声が上がりました。自分でも毎食だと少し負担かなと感じたら、よいと思って始めたことでも、やめてよいと思っています。玄米に合う献立の時は玄米を食べて、白米や雑穀米も食べるようにしています。それから、出来るだけ自然のもの、手づくりしたものを食べたいと思っていますが、それも無理はしません。

      北麓草水

      正しいと思うことでも無理をして続けるより、その時の状況や自分の体の声や家族の意見を取り入れて、柔軟に対応することなのですね。また、自然体でいるということは、具体的にどのようなことなのか、お話いただけますか?
    • 山上さん

      お母さんだからこれをしないといけない、これができないとだめ、という思い込みを無くして、自分の出来ることをすればよいと思っています。私は自転車に乗ることが得意ではなく、自転車に子どもを乗せて走れないのです。子育て中のお母さんの多くは、自転車に乗って、子どもを送り迎えしたり、買い物に行ったり、時間を上手に使って行動していますよね。我が家では、私が子どもを乗せて自転車で走れないので、歩いて行動することが多いのです。片道一時間くらいの距離は、当たり前に歩きます。休みの日には、家族で少し遠くの公園に行きます。そこで子どもたちは、その地域の大人からスケートボードを教えてもらっています。そうやっていろんな大人と出会って、いろんな生き方があることを感じて欲しいと思っています。それから、料理はできる人がつくるというのが我が家ルールになっています。もちろん私がつくることも多いのですが、夫や中学生の長男もよくつくります。夏休みの部活動で持って行くお弁当も、毎朝自分でつくっていて、感心します。お弁当が必要だと聞かされた時に、私が「毎朝大変どうしよう。」と言ったら、息子が「大丈夫だよ、自分でつくるから。」と言って、本当に毎日自分でつくっています。

      北麓草水

      山上さんが無理をせず、ありのままのご自分でいることで、ご家族も自然に自分のできることをするようになっていることが、よくわかりました。

    その他に大切にしていること、習慣としていることはありますか?

    • 山上さん

      米ぬか温湿布と足湯で、体を温めて体調を整えるようにしています。

      北麓草水

      米ぬか温湿布とは、どのようなものなのか教えていただけますか?また暮らしの中にどのように取り入れていらっしゃるのか、お話を聞かせてください。
    • 山上さん

      米ぬか温湿布は、米ぬか、玄米、塩を2:2:1の割合で混ぜて、そこにローリエと唐辛子を入れ、布袋に入れたものです。それを電子レンジで1分ほど温めて、体の温めたい箇所に乗せて使います。

      北麓草水

      大きさと重さが体の色々な部分に使いやすそうですね。
    • 山上さん

      温かさがじんわり体にしみわたり、気持ちがよいですよ。私は朝がとにかく弱いので、朝起きると首の後ろ側と、腰の後ろに温めた米ぬか温湿布を当てます。そうすると少しずつ体が動くようになってきます。日中は、手先と目を使って仕事をするので、目がとても疲れます。疲れたなと感じると、米ぬか温湿布を目に当てて、ソファーに横になって休憩します。眠る前には、お腹や肝臓、下腹部などを温めるとよく眠れます。一日のうちに何回も使っています。カゴに入れて、家族が手に取りやすい所に置いていて、誰でも使いたい時にすぐ使えるようにしています。体の要求を素直に聞いて、気持ちよく感じるところに、当てるようにしています。

      北麓草水

      お話を伺っている間に、山上さんが温めた米ぬか温湿布を手渡してくださいました。ほんのり香ばしい香りがして、柔らかい肌触りが体に馴染み、温かさがじんわりと体に伝わり、とても気持ちのよい温かさです。足湯はどのような時にされるのですか?
    • 山上さん

      ちょっと具合が悪くなりそうな気配を感じた時や、寒い所から帰ってきた時、冷房で体が芯から冷えた時など、そのままだと不調に繋がりそうな時には足湯をします。バケツに足のくるぶしが隠れるくらいまで、入浴よりも少し熱めの42~43度のお湯を入れます。途中でお湯が冷めるので、60~70度のお湯を用意しておいて、足し湯をします。

      北麓草水

      米ぬか温湿布や足湯をすることで、体調に変化はありましたか?
    • 山上さん

      自分の体の状態を感じることによって、大きく体調を崩すことがなくなりました。米ぬか温湿布と足湯で、自分で自分の体をケアすることができるようになりました。

      北麓草水

      人形作家としての今後の活動や、これからのご予定を教えていただけますか?
    • 山上さん

      身近な材料や自然の素材を使って、親子で楽しめる手仕事をお伝えしていきたいと思っています。たくさんのものに囲まれていても、何となく満たされない感じがある現代で、親子で一緒につくって、楽しい時間や体験を共有してもらえたらと思っています。ものをつくる中で、材料や形が変化する瞬間の発見の喜びや、つくることの楽しさを体験して欲しいと思っています。ワークショップでは私がつくり方を教えますが、一人一人工夫してつくって、出来上がりが違ってもよいと思っています。その人らしさが自然に出るのが、楽しいと思います。

      北麓草水

      10月には、山上かさねさんと陶芸家である山上さんのお父さん、能登実登利さんの二人展が、目白のギャラリーFuuroで10月12日(土)~10月20日(日)の期間中に開催されます。山上さんの作品、ワークショップ、展示会のお知らせはインスタグラムでご覧いただけます。

    山上さんのご自宅には、季節のテーブルと呼ばれる、自作のお人形と自然物などで季節を表現したスペースがありました。その他にも、本棚や部屋のコーナーに手づくりのお人形や木の実、貝殻、鳥の羽などが飾られ、絵本の中で見た、森のお家のような雰囲気でした。大人になって様々な経験をされた先に、本来の自分と再開し、それを大切に育んで、作品や暮らしにも生かしていらっしゃるように感じました。無理をしないということは、自分を知り、自分と家族、また、もっと広い世界に対しても誠実に生きるということなのかも知れません。ありがとうございました。